仕事から帰り、2Fにある自宅のドアを開けようとすると、3Fから騒々しい音が響いて来た。次いで、階段を降りる足音が近付いて来る。
 何だろうと思い見ると、帳簿と妙な電子機器を手にしたスーツ姿の男性が、首から提げたIDカードのようなものを見せながら挨拶して来た。
 「こんばんは、NHKの者です」。


 NHKキタ━━━━(。A。)━(゜∀゜)━(。A。)━(゜∀゜)━(。A。)━━━━!!!!
 とは言わなかったが、ちょっとこちらをたじろかせる威圧感めいたものは確かに感じた。
 だが、動揺してたまるかい。NHKがわざわざ戸別訪問してるのだから、用件は判っている。「すいません、ちょっと料金の件でお伺いしたのですが」。やっぱり。


 「あ、払ってますよ」。にべも無く言い放つオレ。
 慌てるNHK集金屋。予期せぬ回答だったのだろう、慌てて手の電子機器をピポパと操り、「えと、○○○号室の○○さんですか?」だと。「ハイ、そうですよ」。そう言うと、「大変失礼しました、コレ、BSのパンフレットです。」と、要りもしない紙をオレに渡して退散して行った。


 直後、帰宅したらしい上の階の住民が捕まったらしく、「払え」「払わない」の問答しているのが聞こえた。


 まぁ、彼も仕事なのだし、突然押し掛けて「払え」と言うのは、まぁ解らないでも無い。だが、ハナから「払ってないだろお前、払えよ!」的なオーラ剥き出しで挑んで来るのは、どんなもんだろう?
 「NHK観ないから」「TV無いから」「今度払うよ」と拒絶されるのに慣れ過ぎて、今回みたいに払ってる顧客に遭遇すると意外に感じるのだろうか?世のNHK叩きに打たれ過ぎて、過剰なまでに堅牢な心構えを抱いているのだろうか?
 けど、NHKはおろかTVも週一くらいしか観ないけど受信料はちゃんと払ってるオレみたいな人間に対し、もっと誠意を見せれないもんだろうか?


 今回の件で、受信料を払うのをやめようかと思った、NHK泣かせなオレだった。