esperanca2005-10-30

 オレがアメフトに興味を持ったのは中学生の頃だから、彼是10年以上前になる。最初の頃は、只管にボールがあるところを追っ掛けて観戦してたもんだ(つか今でも完全には直ってないが)。
 だが次第に、広くフィールドを見回して観戦出来るようになって来た。すると、色んなものが見えるものだ。


 面白いのは、WRCBの対決。パスをレシーヴしようとするWRと、それを防ごうとするCB。華麗な空中戦と、そこに至るまでの熾烈な地上戦。
 TV中継だと大抵の場合は、画面の外に切れていてリアルタイムで観ることは不可能。だが、たまに引きの画面でのシーンだったり、パスプレイのリプレイだったりで、その凄絶な勝負を観ることが出来る。
 いやぁ、これは面白い。オリンピック級選手より遥かに優れたアスリート同士が、そこいらのタイマンスポーツより遥かに高いレベルのスキルのぶつけ合いをし、その辺の格闘技より遥かに緊張感のあるプレイで魅せてくれる。アメフトというチームスポーツにだが、1対1の対決が際立つマッチアップってのは、やっぱりこの両者がベストだな。
 CBチャンプ・ベイリーCBクリス・マカリスターCBタイ・ローCBチャールズ・ウッドソンCBサマリ・ロール等といった面々と、WRランディ・モスWRマーヴィン・ハリソンWRテレル・オーウェンズWRチャド・ジョンソンWRムシン・ムハマド等といった面々の激突、これは本当に面白い。
 高さ・パワー・スピード・アジリティ・ジャンプ力・テクニック・柔軟さ、極限まで高められた体力と技術の鬩ぎ合い、各々の思考・反応・先読み・対応力・駆け引き・経験、極限まで高められた息詰まる魂の勝負、観てるだけで興奮する。


 それとは別になるが、もう1つ面白いマッチアップがある。それは、OTDEの対決。パスを投げるQBを襲うDEと、そこに壁として立ち塞がるOT
 この勝負、前述のWRCBよりは、スナップ位置に近いために観易い。だが、思わずボールを目で追ってしまうので視界から消えがちなのが難点だな(それは観る者が悪い)。


 そのOTDEの対決で、面白い試合があった。NFL2005シーズンweek6、S.L.RamsInd.Coltsの試合だ。RamsLTは、言わずと知れたNFLにおけるNo.1オフェンスラインLTオーランド・ペイス。対するColtsのREは、昨シーズンのサック王たるREドワイト・フリーニー
 前者は、201cm・147kgの巨体を誇りながら驚異の運動能力を持ち、圧倒的なリーチとパワーで絶対的な壁として君臨する、NFLきっての名選手。7年目だが過去6年連続してプロボウルに選出されており、将来の殿堂入りは間違い無いとされる選手。対する後者は、185cm・122kgとラインメンとしては常識外れなほどに小柄ながらも、信じ難いほどのスピードと低い姿勢からのタックルを武器に、新人年から3年連続2桁サックを記録して来た、稀代のサックアーティスト。
 このマッチアップ、試合開始前から面白くなるのは目に見えている。当然、期待を込めて見守った。
 結果。小柄なREフリーニーの前に巨漢のLTペイスが立ち塞がり、突進は巨体を活かして撥ね返し、片手で動きを封じつつ巧くコントロールし、仕事らしい仕事をさせないまま時間は過ぎて行った。途中のランプレイで、LTペイスのマークを外したREフリーニーRamsRBジャクソンに見事なタックルを喰らわしファンブルフォースを奪うシーンがあったが、全般にLTペイスの圧勝と云った雰囲気。終盤にREフリーニーがQBサックを奪ったが、これは勝敗の帰趨があらかた決してから。全体として、LTペイスの勝利は揺るがない。ゲーム自体はColtsの圧勝となったが、局地戦で見ればLTペイスvsREフリーニーLTペイスの貫録勝ちと言ったところ。
 凄いな、LTペイスプロボウラーであるRavensのLTジョナサン・オグデンですら全く歯が立たなかったREフリーニーを、これほど封じ込むとは。「日本一のプレイヤーになる」と息巻いてた流川を、圧倒的な実力差で叩き潰した沢北栄治みたいだ(だとするとLTオグデン清田信長辺りか?)。


 兎にも角にも、大きなNFLシーズンの舞台の、その1/16である1試合の、その何十分の一かの1プレイの、その一部分である局地的な1対1の対決にも、色々と楽しい見所は詰まっている、そんなNFLが面白いのです。