「花粉症」って名前は誰が考えたのだろうか、「ハクショーンッ」と「カフンショーッ」はちょっとだけ近いかも。

 今年は花粉の飛散量が多いとは聞いていたが、ようやくシメジの元にもその脅威が迫って来た。涙と目ヤニが止まらずに目が開けられない。くしゃみが続き鼻水がとめど無く溢れる。何だか皮膚も痒い。一年で最も辛い時期。余談だが、「飛散量」とタイプしたのに「悲惨量」と変換された為に余計に辛くなって来た。

 シメジは、「防人たる仕事は外に出て現場で動いてナンボ」との意識があるのだが、この時期は外出するとすぐにくしゃみ連発で、全く仕事にならない。昨年など、余りにも止まらないので「もうシメジは留守番担当な」と上官に言われてしまった程だ。事務所に残ると、やれ2年前のあのデータを出せだとか、この件数について調査して15時までに回答しろだとか、システム処理を失敗して商品が全く動かせなくなったのでどーしたらいーですかとか、窓口に行列が出来たりとか電話に1人で2本同時に出なければならなかったりとか、兎に角面倒なのだ。それならよっぽど、外に出て汗を流しつつ目の前の仕事だけに専念した方が楽だ。
 それにしても、目と鼻がやられっ放しの状態になると、何もかもが面倒になる。そもそも、プライヴェイトでは全く外に出ようという気にならない。元々が引き篭もり予備軍なのに、これだと全く本格的に引き篭もりだ。会社と家とスーパー(食材調達はせねばならないからね)の三角形を、ただただグルグル回るだけの日々。たまにコンビニや本屋にも立ち寄るが、鼻水が止まらなくて立読みしていた本に垂れて慌てて本を閉じて棚に戻したりするだけ(極悪)。大体、立読みにも集中出来ない。またも余談だが、「食材」とタイプして「贖罪」と変換されるシメジのパソコン。オレは何か悪い事をしたのだろうか(鼻水の件だ)。

 花粉症で問題なのが、イヤ花粉症の症状自体も問題なのだがそれに加えて深刻なのが、くしゃみ鼻水と云った諸症状が、風邪やインフルエンザと区別し辛いって事なのだ。

 小さい頃は風邪を引きがちで、一冬に3回もインフルエンザに感染した経験も持つシメジ(3タイプのインフルエンザウィルスが同時上陸した年の事だった。オールコンプリートを達成したのは全国にも数少ないだろう)。大学の頃でさえ、2ヶ月に1度は風邪を引いていた為に、ぴよ丸。からは病弱呼ばわりされていた。そう言うだけあって、ぴよ丸。は全くと言って良いくらいに風邪を引かなかった。○○なのでは無いかと本気で疑わしくなるくらいに病気に強かった。まぁちょっとした気温の変化で「寒い」と言って冬眠に入ったりするので、その辺のタフネスさ(若しくは鈍感さ)ではシメジが上回っていたように思うが。

 おっと、話が脱線した。昔は常に鼻をズルズル言わせていたシメジだが、不思議な事に社会人になってからはそんな事が無くなった。一人前の大人としての責任感と規則正しい生活の賜物と言いたいところだが、残念ながらそんなもん欠片も無いので原因は不明だ。まぁ風邪を引かなくなった分、潰瘍とか腰痛とか胆石とかジジ臭い病気が増えたのだが。

 話を戻して。
 風邪やインフルエンザと花粉症の区別が付け辛いとなると、実際に風邪やインフルエンザであった場合に、初期治療がどうしても遅れてしまう。気が付いたら酷い熱発で入院、てな事にもなりかねない。

 ……と。
 会社で隣席のY上等兵が、昨日からどうも体調が優れないようだ。一昨日の検査でボートの船倉に潜って2時間もガンバルマンやってたのが祟って、身体のあちこちが痛いらしい。加えて、昨年まで亜熱帯の南国・奄美大島で働いていたからか元々寒がりの上等兵、どうにも寒くて堪らないらしい。そう言えば顔色も悪い。体温計を貸してあげ測ってみると36.9℃、まぁ微熱か。しかしそれにしても明らかに様子がおかしい。法改正の文書を読んでるかと思えば、同じ行から1時間掛かっても進んでいない。集中出来る状態に無いのは明らか。
 余りにも調子が悪いらしいので、昼から帰って貰う事にした。どうせ午後は玉蜀黍ラッシュくらいしか仕事は無いだろうし、1人くらい居なくても何とかなる。

 15時頃、上等兵の携帯電話から事務所に着信があった。シメジが出ると、「病院に行って来ました。あの後急激に熱が上がって、38.5℃まで行っちゃって。で診察して貰ったら、『インフルエンザです』って」。
 エッ( ̄△ ̄;)!!!!!!

 繰り返すが、上等兵はシメジの隣席だ。仕事の合間に雑談をするにも、上等兵相手が最も多い。同じ仕事を受け持つ事も多く、一緒に居る時間はかなり長い。
 ふと不安になって、体温を測ってみる事にした。

 ……36.9℃。

 願わくは、週末では無く平日に症状が出ますように。