言いたい事は要は「TEミラー天晴れ!」だったのだが、派生事象をダラダラと書いてるうちに随分と長くなってしまった、グダグダの雑記、の巻。

esperanca2005-11-06

 「NFL JAPAN」に掲載されたニュース。

10月の新人MVPに攻撃部門でピッツバーグ・スティーラーズTEヒース・ミラー、守備部門でダラス・カウボーイズDEデマーカス・ウェアが選ばれた。
 ミラーは、10月の4試合でレシーブ17回184ヤード、5TDと活躍した。ゴール前のパスターゲットとして重宝されているミラーは、ここ4試合連続でTD捕球をあげ、チームトップの6TD捕球を記録している。第7週のシンシナティ・ベンガルズ戦ではシーズンベストのレシーブ6回に58ヤード、1TDをあげた。彼は7試合中6試合に先発している。
 先週、「一気にファンになってしまった」と書いた直後の、この活躍ぶり。惚れ直してしまう。


 思えば、昨シーズンのTEの大爆発にしろ、TEミラーの活躍にしろ、TEが目立つ局面と云うのは近年急激に増大している。ベースボール・マガジン社刊の「2005年版NFLアメリカンフットボールを知り尽くす!」においても「幕を開けたタイトエンドの時代」として紹介されていたが、今や、紹介しない方がおかしいくらいに、TE抜きには語れない状況が続いている。
 K.C.ChiefsのTEトニー・ゴンザレスは、その中においても頂点に君臨し続けている、圧倒的な存在。昨シーズンは、レシーヴ数でリーグ1位(102回)を記録した他、1,258yds・7TD獲得、ランブロックでもRBプリースト・ホームズらのTD量産の原動力になっている。
 大学時代にアメフト経験は皆無ながらも、バスケットボールで育んだ身体能力とボディバランスを武器にTEとしてのTDレシーヴ数のNFL記録を塗り替え(13TD)、旋風を巻き起こしたS.D.ChargersのTEアントニオ・ゲイツも、現代NFLの主役の一人としての地位を確立した。
 他にも、N.Y.GiantsのTEジェレミーショッキー、Atl.FalconsのTEアルジ・クランプラー、Dal.CowboysのTEジェイソン・ウィッテンS.F.49ersTEエリック・ジョンソン、Ind.ColtsのTEダラス・クラーク、Den.BroncosのTEジェブ・パッツィアー、Phi.EaglesTE LJ・スミス、Det.LionsのTEマーカス・ポラードG.B.PackersのTEバッバ・フランクス、Min.VikingsのTEジャーメイン・ウィギンズ、Bal.RavensのTEトッド・ヒープ等、嘗てのTEの常識を覆すほどの活躍を見せている選手は数多い。
 前述の「アメリカンフットボールを知り尽くす!」では、「攻撃におけるパス偏重」「DBの身体能力・運動能力の向上への対抗策」が、近年のTE旋風の要因として挙げられている。なるほど、その通りだと思う。


 けど、実際問題として、否応無しにそうせざるを得ない状況ってのも、あると思う。
 つまり、ディフェンスシステムが恐ろしく複雑になってしまい、QBは常に激しいプレッシャーに苛まれる状態になったから、使い易いTEへ逃げざるを得ない、って状況。パスを投げようとQBが見回すと、パスターゲットであるWRは完全にマークされており、比較的高確率でパスをヒットさせられるTEへ投じる。そして、それが何だか上手く通るもんだから、それをベースにしたオフェンス(TEをパスターゲット順位の上位に置いた攻撃)ってのを組み立て、その結果TEへのパスの割合が増す。
 また、故障が増えたりFAの影響で簡単に選手が入れ替わったりするようになり、QBが頻繁に入れ替わるのも、一員としてあると思う。新人QBや移籍加入QBが新たに複雑なシステムを習得するよりも、近距離ターゲットであるTEへのパスを増やしてとりあえずは攻撃の形を成立させる、っての。円熟した一流QBならばまだしも、大卒ルーキーQBがいきなりWRにパスをポンポン通せるほど、現代NFLは甘くない。


 この理由としては、上に名前を挙げたTEの所属するチームのQBが、総じてパスに関しては二流だったり新加入だったり、ってのがある。何だかんだ言っても、距離を稼ぎつつあわよくばTDを狙うのであれば、WRに投げた方が絶対に効率的だからだ。それが出来ないから、TEが目立ってしまう。
 御贔屓チームのエースの名を挙げるのは辛いが、FalconsのQBマイケル・ヴィックはその筆頭。彼の「何処に投げてんだか判らないレーザービーム」を捕れるのは、TEクランプラー級だからこそ、だろう。
 TEゴンザレスTEクラークは別格としても(Coltsの場合はTEクラークと言うよりQBペイトンマニングが別格)、TEゲイツのChargersはQBドリュー・ブリーズは、少なくとも一昨年までは二流のパサーだった。49ersはQBがコロコロ入れ替わる惨状だし、GiantsもCowboysも絶対的なフランチャイズQBは存在しなかった。


 まぁ、TE旋風ってのは、昨年・今年の突然の流行と言うよりも、アメフトと云うスポーツの、大きな流れの一つだわな。
 予兆は、1990年代半ばから起こった、RBマーシャルフォークを始めとする「パスを受けれるランナー」の席巻。あの辺りで、「次はTEだ」と気付くべきだった。更に言えば、ウェストコースト攻撃が誕生した時点で、TEがパス攻撃の重要な武器の一つとして用いられるのは、予想されて然るべきだった。


 TEってのは、素人目に見ても、「使い易い」ポジションだわな。タッパが有るから多少のコントロールミスは捕ってくれるし、ガタイが良いから混戦にも強い。ラインでの攻防で鍛えた身体能力があるし線が太いから、多少無茶に酷使しても壊れなさそうだ。(現時点では)WRほどスター性があるポジションでは無いから、地味なプレーでも忍耐強く頑張ってくれるし、本来「レシーヴ専門」では無いから、パスレシーヴの機会が少なくても文句を言わない。


 と、話がTEの性質に向いたところで。
 オレって、職場でのポジションは、かなりTE的だと思う。使い易くて、無茶させ易くて、それでも文句言わない。
 いっそ、WRみたいに我が儘になれたらなぁ、と思ったりもする、長月の星空の下での雑記。