NFLディヴィジョナル・プレイオフの(一応)戦前予想、と思ったんだが、ちょっと間に合わな気味だったり、の巻。

 先週のワイルドカード・ウィークエンドでは、一部の試合結果を知りつつも「予想」と銘打ってつらつらと書いたオレ。けど、知ってて書いたのはRedskins−Buccaneersの試合だけで、しかも大外れの予想を敢えて書いたんだし、まぁいーじゃん(良くない)。


 さてさて、今週はいよいよベスト8の決戦だ。


NFC


 Redskins 17 - 31 Seahawks


 この試合は、どうやってもSeahawksの優位は動かないと思う。
 今季NFCトップの13勝を挙げたSeahawksの強さは、低調なカンファレンス内にあって際立っていた。Redskinsは、いつの間にか11勝もしてたが、そんなに強いという印象は無い。RBポーティス頼み、あとはQBブルネルWRモスのブーメランフックみたいな一発で勝って来た感じ。


 スタッツ的には、結構競ってたりもする。オフェンスは、Redskinsが11位(ラン7位・パス21位)に対しSeahawksが2位(ラン3位・パス13位)。ディフェンスは、Redskinsが9位(ラン13位・パス10位)に対しSeahawksが17位(ラン5位・パス25位)。攻守のバランス、ラン・パスのバランスで見るとRedskinsの方が優れたりもする。
 ただこれは、Seahawksがリードして展開する試合が多く、後半は相手のパス一辺倒の攻撃に曝されて必然的にパス喪失距離が増大する、ってな理由もあるような。
 それに、今季のリーディングラッシャーとなりリーグMVP&オフェンスMVPを獲得したRBアレグザンダー、それをリードするFBストロング、土台を支えるLTジョーンズLGハッチンソン等のOL陣、これは圧巻だ。Redskinsの守備フロント陣も弱いとは言わないが、太刀打ち出来るかと言えば答えは“No”だ。
 ただ怖いのは、大激戦となったNFC-Eastからワイルドカードに滑り込み、尚且つ堅守のBuccaneersを守備で圧倒して勝ち抜いて来たRedskinsの勝負強さだな。Seahawksが不用意なミスや反則を繰り返したりターンオーバーを喫するようなら、それは致命傷だ。


 んで、予想。
 色々言っても、両者の実力差は歴然。Seahawksの攻撃は、1Qに1TDくらいのペースで得点を重ねるだけの破壊力はある。Redskinsが追う展開になり、QBブルネルからWRモスWRスラッシュ、WRパッテン等へのパスに活路を見出そうとするが、RBポーティスのランが活かせないし、それがQBサックインターセプトの引き金にもなる。ターンオーバーを奪ったSeahawksは、RBアレグザンダーのランで試合をコントロールし続ければ良い。
 最終的には、ダブルスコアに近い点差を付け、Seahawksの圧勝。Seahawks悲願のプレイオフ勝利(21年振り)。RedskinsのHCギブズお爺ちゃんも、淋し気な背中を見せコホコホと咳き込むしか無い。来年まで元気でな。


 Panthers 21 - 6 Bears


 これまた興味深い一戦。一昨年のシンデレラチームと、今年のシンデレラチームの対戦。シンデレラチームはスーパーボウルまで辿り着くからこそのシンデレラなのだが、今年のAFCのシンデレラチームたるBengalsは惨敗だったからなぁ。ま、それは、我がSteelersが強過ぎたからなのだが。


 オフェンス能力で言えば、明らかにPanthersが上。Panthersが21位(ラン19位・パス17位)に対しBearsが29位(ラン8位・パス31位)。
 Panthersの場合、チームの根幹を成すRBフォスターRBディヴィスの負傷で不振だったのに対し、Bearsは正真正銘の力不足。司令塔をルーキーのQBオートンに託すしか無い状況だったとは言え、開幕からQBグロスマンがヘルシーだったとしても、オフェンス成績はそれほど伸びたか。RBジョーンズにボールを渡すだけならHCスミスでも出来そうだ(ホントか?)。
 ディフェンスは、リーグ最小失点の今季のBearsは流石に強力だが、Panthersも引けを取らない。Panthersは3位(ラン4位・パス9位)、Bearsは2位(ラン11位・パス5位)だ。
 Bearsの守備は、リーグ守備MVPに選出されたLBアーラッカータックル力のあるLBブリグズを軸に、DEブラウン&DEオガンライの突進力のある両ブックエンドがQBサックを連発し、CBヴァシャーCBティルマンがパスをもぎ取り、SSブラウン&FSハリスがバックフィールドをカバーする。DL4人だけで相手QBにプレッシャーが掛かるので、セカンダリーが自由自在に動き回れている印象。1試合平均12.6失点は圧巻の数字だし、今季奪ったターンオーバーは34個(FR10個、INT24個)、チームサック数はリーグ8の41回とビッグプレイ能力にも富む。隙の見当たらないユニットだ。
 Panthersも、先週のワイルドカード・ウィークエンドで高い攻撃力を誇るGiantsを完封したように、DEペッパーズ&DEラッカーのラッシュとCBルーカスCBギャンブルのカバーを軸にした堅守を誇る。LB陣の能力がBearsに劣る感はあるが、まぁそれはBearsが凄過ぎるからしょうがない。


 試合としては、シーズン後半(Panthersはプレイオフ1回戦を含む)の戦いぶりから見るに、Panthers有利と見る。
 Panthersとしては、QBデロームがBears守備陣の網に掛からないことが肝要。「熱くなるな」と言っても無理な人だから、精一杯熱くなって貰った上で、リーグのパスレシーヴ3冠王たるWRスミスへのパスをヒットさせる。まぁWRスミスは徹底マークを受けるだろうから、ここはWRコルバートWRプロウルの頑張りどころだな。
 一番怖いのは、CBヴァシャーCBティルマンによるインターセプト。QBデロームは元々波のある選手だし、今季も16INTを喫している。これが3度も4度も出るようだと(2回までは想定の範囲内)、一気にBearsの流れになる。
 まぁ、QBデロームの場合は波があるだけに、時々「神様」が舞い降りて来る事がある。信じられないような状況で、信じられないパスを通し、信じられない展開で勝利に導く事がある。そうなると、Panthersに負けは無い。
 あとは、一昨年スーパーボウルにまで昇り詰めたPanthersの「経験」だな。Bearsの場合は、昨年までの10年間でプレイオフ進出は1回しか無く、しかも1回戦でEaglesに19-33で完敗している。どこまでレギュラーシーズン通りのプレイが出来るか。
 とまぁ、色々な条件を吟味した上で、ここはやはり、私が今季のNFLチャンプと予想したPanthersに勝って貰いたい。出来れば、QBデロームが19/27回、362yds、3TD/2INT、レイティング118.99くらいの活躍をして頂きたい(やけに具体的だな)。


AFC


 Patriots 22 - 24 Broncos


 エト、Patsが「微妙な得点」(TDの7点とFGの3点の組合せで起こり難い)になってますが、それはいつもの事です。2ptConversion成功が出たと思って下さい。


 それにしても、この試合は非常に興味深い、ウン。
 プレイオフ10連勝中(NFL記録)のPatsと、スーパーボウル2連覇以降はサッパリ勝てずに3連敗中のBroncos。
 しかし今シーズンの成績で視ると、13勝のBroncosがPatsの10勝を上回り、試合の中身も充実していた。勝つ時は安定しているし、負けた試合も(開幕戦は兎も角として)競ったものが多い。一方のPatsは、負傷者続出の上にスケジュール的に厳しかったとは言え、王者らしからぬ惨敗を喫する試合も多かった。


 オフェンス成績は、Patsが7位(ラン24位・パス2位)に対しBroncosが5位(ラン2位・パス18位)と非常に優秀。ランとパスの好対照っぷりも面白い。PatsのQBブレイディはパス獲得距離でリーグ1位の4,110ydsを稼いだ外、成功率63%、26TD/14INT、レイティング92.3も素晴らしい。Broncosは2人のエース級ランナー(RBデインも入れれば3人)を擁しており、RBアンダーソンは239回1,014yds、RBベルは173回921ydsと、もう少しで同一チームから2人の1,000ydsラッシャーを生み出すところだった。
 QBの能力は、PatsのQBブレイディがBroncosのQBプラマーよりあらゆる面で上回る。RBの能力は、(今年に限って言えば)PatsのRBディロンよりBroncosの両者の方が上だし、しかも2人居る。WRについては、PatsのWRブランチWRギヴンズとBroncosのWRスミスWRレリーでは、タイプが違うがまぁ互角か。ただ、3番手以降にもWRブラウンやWRドワイトのベテランやTEワトソン等の若手を揃えるPatsの方がデプスは上。要は「空中戦のPats vs 地上戦のBroncos」だな。
 ディフェンス成績は、Patsが26位(ラン8位・パス31位)、Broncosが15位(ラン2位・パス29位)と、こっちは意外にも両者共に不振。Broncosとしては、リーグ2位の42個(FR16回、INT20回)のターンオーバーを奪ったビッグプレイ能力が失点を抑えていたワケだな。Patsは、まぁあれだけセカンダリー陣に負傷者が出れば、この成績も致し方無いところか。
 キーマンは、Broncosの誇るリーグ最高レベルCBベイリー。相手エースWRを完封してしまう運動能力、今季リーグ4位の8INT(2TD)を記録したビッグプレイ能力は見事。Patsのキーマンは、やはり心臓病から奇跡の復帰を遂げたチームリーダーLBブルースキー。「Patsの魂」とも言える存在だな。


 で、予想の方だが。
 この両チームの強みは、「相手の強みを徹底的に消す事」が得意な点だと思う。充分なスカウティングで練り上げられた戦略と、それをこなすだけの個人能力を備えている。よって、レギュラーシーズンほどPatsのパスは出ないし、Broncosも走れない。
 となった時にどうなるか。PatsのランとBroncosのパス。うむ、難しい。
 ただ、BroncosのOLの能力はユニットとして非常に高く、機動力に富むヒゲ“スネーク”QBプラマーが持ち味を発揮する余地は生じる。TEパツィアーRBアンダーソンへのショートパス、そして自身のスクランブル。それらを活かせば、フレッシュな選手が少なく包帯巻きのミイラ軍団みたいなPatsのディープを切り裂くチャンスも訪れる。
 PatsとしてはやはりQBブレイディ頼み。14-17の4thQにWRブランチへのTDパスがヒット、FGで同点とされないよう2ptを試みて成功させ22-17。だが、Broncosが2minutesから快ドライヴを展開し、最後はRBアンダーソンが走り込んで再逆転。
 よって、息の詰まる接戦の末、荒野の駿馬に踏み荒らされたPats王朝は終焉を迎えるのであった。


 Steelers 31 - 30 Colts


 さてさて、我が愛しのSteelersが登場。
 下馬評では圧倒的にColts有利の声が大きいようだが、そんなの聴こえない。先に言っておこう、鋼鉄軍団は決して折れない、負けることは無い。


 先ずは、あんまり見たくは無いが、スタッツを見てみるか。
 オフェンスは、Steelersが15位(ラン5位・パス24位)に対しColtsが3位(ラン16位・パス3位)。ディフェンスは、Steelersが4位(ラン3位・パス16位)に対しColtsが11位(ラン16位・パス15位)。得失点は、Steelersが得点9位(24.3点)、失点3位(16.1)に対し、Coltsが得点2位(27.4点)、失点2位(15.4)。ターンオーバーレシオは、Steelersが9位(+7)に対し、Coltsが4位(+12)。QBサック数では、Steelersが3位(47個)に対しColtsが5位(46個)。
 ……なんだ、負けてないじゃん。


 「Steelers勝利」を前提に予想を進めると、攻撃力で一歩うんにゃ半歩Coltsに劣るのは否定し難い事実なので、派手な撃ち合いだけは避けたい。あと、出来たら2個以上のターンオーバーを奪いたい。先週同様、4サック・2FF・2INTとか出来たら理想的だ。Bengals戦では出来なかったが、先制点を奪いリードして前半を終えたいのも、Steelersの基本プランから鑑みて当然至極。


 やっぱ脅威となるのは、NFL最高のパサーたるQBマニングからのパス。WRハリソンWRウェインWRストークリーWRウォルターズTEクラークRBジェイムズと、嫌になるくらい的が多い。ウチのセカンダリー陣で抑え切れる自信が無い。
 こうなると、DL陣・LB陣がブリッツをどれだけ効果的に仕掛けられるか、QBマニングに楽なプレイをさせないか、に賭かっている。勿論、CBテイラーCBタウンゼンドCBコークリー等がマークを絶対に外さないのも大事。
 出来れば、LBポーターSSポラマル辺りのビッグプレイにも期待。こんな大舞台、しかも格上とされる相手との試合(オレは認めないが)ともなると、彼等の勝負強さには期待せざるを得ない。DEヴォンオールホッフェンは、先週みたいな「ビッグプレイ」をして「NFLの至宝」を失わせてしまうと、全米の非難轟々となること必至なので、控え目に活躍して頂きたい。
 あと、攻撃面で注意が必要なのが、DEフリーニーDEマシスDEブロックDTリーガーDTトリプレット等のパスラッシュ。特に合計で今季22.5サックを挙げたDEフリーニー及びDEマシスブラインドサイドは、どんだけケアしてもし切れないレベル。対面のLTスミスLGファニーカが鍵となる。7-26と完敗したweek12でも、DEマシスにやられてるしなぁ。ま、ラン攻撃とスクリーンパスを中心に組み立てて行ければ、威力も半減するんだろうが。
 となると、オフェンスで重要なのは、RBパーカーRBベティスTEミラー辺りか。無論、司令塔のQBベン様がいつも通りの冷静なプレイをするのは絶対条件。
 うーん、全員大事だな。


 はてさて、予想。
 1stドライヴでは、QBロスリスバーガーWRランドルエル又はWRウィルソンロングボムを通す“奇襲”でColtsの度肝を抜く。「リョータ君→花道のアリウープ」みたいな感じ。けど深津(QBマニング)は動じない、みたいな……ってダメじゃん。
 兎にも角にも先制点を奪い、次からのColtsのドライヴをパント、最悪でもFGに抑える。せめて3ドライヴ持ってくれたら、その間に攻撃陣が加点する。常にリードを保ち、10-6で後半へ。
 ハーフタイムを終えると、「怒濤の後半」(またもSlumDunk)では無いが、Coltsも黙ってはいまい。QBマニングからの波状パス攻撃で逆転すると、一気に得点を積み重ねて行く。
 っとここで、ミッチーの3P&流川ショーCBタウンゼンドインターセプトリターンTDLBポーターのQBサックからのFF)が飛び出す。点差を詰めるSteelers。逃げるColts。追い縋るSteelers。突き放すColts。喰らい付くSteelers。
 激戦となった試合の行方は、24-30となって、最後のSteelersの2minutesオフェンスに委ねられる。
 このドライヴ、WRウォードへのパス、相手のパスインターフェアランス、QBロスリスバーガーのオープンへのスクランブルで前進し、残り12秒で4thDOWN-8yds。エンドゾーンに走り込むTEミラーへQBロスリスバーガーがパス、そしてこれがヒット!PATのキックもKリードが落ち着いて決め、31-30!


 うーん、勝敗の帰趨と言い、タレントの活躍度と言い、ドラマチック性と言い、理想的。


 さてさて、どうなることやら。おっと、試合が始まる。つか、もう始まってる(オイ。(゜゜;)\(--;) )。