早朝起床。

 最近、異様に早く目が覚める事がある。

 就職してからと云うもの、元々早起きのシメジである。4時5時に起きる事も慣れて来た。だがこのところ、それが更に早まって来た。



 普段、目覚まし時計は「寝坊して遅刻しない為の予防措置」として鳴る前に目覚めているので、起きる時は自然に起きる。体内時計が朝を示したら起きる、そんな感じ。

 夢のまどろみの中から現実に戻り、「あぁ、もう朝か」とモゾモゾ起き出す。むにゃりと珈琲を淹れ、パソコンを起動し、ニュースチェックやら音楽鑑賞やらの朝の楽しみモードへ移行する。
 そもそもシメジは、朝に斯様な「まったり時間」が必要不可欠な人間である。仕事となれば「0時起床で1時から現場」でもバリバリやれるが、それ以外の日常であればゆっくりと身体と頭脳を起こしてから働きたい。それに、そもそも血の巡りが悪いのだろうか、完全に起き出すまでには時間が掛かる人間だ。
 加えてシメジは、朝の静寂の時間が好きだ。誰も起き出していない自分だけの時間が好きだ。住まいがボロ住宅である上に隣の部屋が上官なので色々と気を遣ったりもするのだが、朝ならば多少はドタバタしても寝てるから大丈夫だ(起こすまでに騒音を立てるような事はしない)。思う存分、ネト巡回やら珈琲タイムやらが楽しめる。NFLの試合が日本時間早朝に行われる事にも対応し易い。

 しかしそれでも、3時やらに起きてしまう昨今は、自分でもちょっと早過ぎだと思っている。もう一眠りしようと思えば充分に可能な時間なのだが、一度起きてしまったものをもう一度寝てしまうのも何となく損に思えたりして、そのまま起きている。すると、まだまだ残業の山がちっとも片付かない18時頃には、おネムモード全開で目が蕩けて来たりする。果ては、15時頃から既に眠くなって来たりも(昼下がりの眠気では無く、本格的な睡魔)。

 昨夜、休日出勤が長引いて疲れ果てたシメジは、翌日が休日と言う事もあって、麦酒→焼酎の黄金コースを辿りつつ、昔のお笑い番組を眺めていた。疲れていたのでソファに横になったまま観ていると、驚く程に急激な睡魔に襲われ自覚も無いままに眠りに落ちていた。直前に時計を見た記憶からするに、この時点でまだ22時。
 目が醒めたのは、午前1時半。最早「朝」とはとても言えない時間。こんな時間に起きていると、生活のリズムが狂ってしまう。せめてあと1時間でも眠らなければならない。だがシメジは、「寝よう」「寝なければ」と思えば思うほどに眠れない(誰しもそうだろうが)。そこでシメジが採った策とは。
 焼酎をガブ呑みして眠る。
 ……もう、アホだな。起き抜けに焼酎。

 だが、これが意外や意外。酒を呑んで寝て起きた直後は、全くと言って良いくらいに、アルコールが回らないのだ。誰が学会に発表して頂きたいくらいだ(自分で発表するまでには呆けていない)。
 またも昔のお笑い番組を眺めつつ、焼酎を煽り続ける。酔いが全く回らないから、量も進む。一升瓶はどんどん水位を下げて行く。だが酔わない。眠くもならない。
 気が付くと、もう5時。かれこれ3時間半も焼酎を呑んでいる。昨夜の晩酌は1時間ほどで寝てしまったから、晩酌の2倍以上に「朝酌」または「暁酌」「曙酌」している訳だ。
 何だかもう、眠気とかアルコールの回りとかでは無く、長時間酒を呑んでいた事自体に対する疲れと、何とも虚しいアホらしさで、眠りに落ちた。

 8時頃、近所の小学校のチャイムの音で目覚めた。
 ……うぅ、気分悪い、頭痛い。起き抜けの酒は、酔いの自覚症状は皆無でも、アルコール分解能と血中に蓄積されるアルデヒドには無関係だったんだな。
 くそぅ、騙された。