99。

 この2週間ばかり、ガソリンのエンプティを表すランプがずっと点灯しっ放しだった、我が愛車・イプ公。給油しない理由が特にある訳でも無く、カネが無い訳でも無く、道の真ん中で突然ガス欠立ち往生もイヤなので、給油に出掛ける事にした。

 会社の車の給油も契約している、地元の大手企業経営のスタンドに向かう。フラフラヨロヨロとイプ公を停め、「レギュラー満タン」と注文。会社の車じゃ無いのに「端数無し」と言いそうになる(端数があると計算が面倒だからね)。

 給油が終わり、スタンドの兄ちゃんが明細を差し出し、「¥6,202になります」と言う。確か、小銭はたんまりと有った。1万円札(偽造では無い)と、100円玉1個と1円玉を2個、あとはこないだドアのポケットで発見した100円玉を加えて、¥10,202ナリ。はいよー、お釣りヨロシク。

 兄ちゃんがお釣りを持って来る。「はい、¥4,099」のお釣りになります」。

 ……。ハ?

 こちらが折角、お釣りは札だけで良いようにと小銭をチマチマ出したのに、¥99なんて端数が付いて来た。どうしたことだろう?

 まぁ、考えるまでも無く、こちらが100円玉と1円玉を間違って、¥6,301を出したがために、こんな端数が生じた訳だ。



 と、此処で疑問。

 1、本当にオレは¥6,301を出したのか?本当はちゃんと¥6,202だったのでは無いか?
 まぁ、考えようによっては、店員が間違っていたとしてもこちらとしては¥99得した形になるので、それはそれでOKなのかも知れない。たかが¥99如きで損した得したと一喜一憂するのはイヤだが。



 2、本当に¥6,301を出したのだとしたら、何故そこで「お支払いは¥6,202ですよ」とか「あと1円有りません?」とかにならないのだろう?
 店員にしてみても、チマチマ¥99とか数え上げるよりは客に小銭を出させた方が楽だろうに。大体、¥99お釣りが出るように意図して支払う客が何処に居ると言うのだ。

 まぁどっちみち小銭だし、怪訝に思いつつもお釣りを受け取ってガソリンスタンドを後にした。
 
 後日、シメジ達の事務所を訪れる、2人の人物が居た。入口に近い位置に居た職員が応対している。シメジは仕事に追われていたので、とりあえずは彼等に任せる。
 と、N曹長がシメジを呼ぶ。何だろう。
 見ると、会社の車の給油を契約している、先日のガソリンスタンドの店長。何でも、3月一杯で熊本に転勤が決まったらしく、その挨拶だった。シメジが呼ばれたのは、ガソリン料金とか運行距離とかを管理したり直接交渉に当たったりする担当がシメジだから、と云う訳だ。
 すると、後任の新店長は?と思っていると。
 横に居たもう1人の人物が前に出た。見ると、先日の「¥99男」やんけ!

 ……4月からも此処と契約して大丈夫だろうか?