2005NFLドラフトの結果を受けての個人的感想と来たるシーズンへの展望。

 米時間23〜24日、2005NFLドラフトが行われた。今年は全体的に粒が小さいとされていたが、それでも各チームにとっては重要な補強チャンス。
 注目は、全体1位指名権を持つS.F.49ersの動向。QBジョー・モンタナやQBスティーヴ・ヤング等を擁して'80〜'90に掛けて黄金時代を築いた名門チームだが、昨シーズンはシーズン僅か2勝、NFL全体最下位に沈んだ。余りにも脆弱な選手陣だけに、チームの核となり根底からチームを改革出来る即戦力が必要。よって、QBのアーロン・ロジャース(カリフォルニア大)とアレックス・スミス(ユタ州立大)のいずれかの指名になると予想される。
 個人的には、小柄ゆえに評価を下げているものの、地肩が強くショートパスも確実なロジャースの指名が良いと思ってる。性格的にもチームの顔となれそうだし、地元出身でチームの為に粉骨砕身してくれそう。若しくは、アクロン大のQBチャーリー・フライなんかどうだろうか。全体1位指名されるほどの選手では無いだろうが。
 2位指名権を持つのは、これまた嘗ての名門ながら凋落の一途を辿るMia.Dolphins。守備力はかなり高いだけに、攻撃の中心となる選手が必要不可欠。エースとなる筈だったRBリッキー・ウィリアムズが薬物事件と突然の引退から復帰の期待が持てないだけに、スタミナとパワーのあるランナーが欲しい。
 以下、Cle.Browns、Chi.Bearsと続くが、上位指名権を持つのはどれも補強ポイントが多いチーム。まぁ選手が不甲斐無く昨シーズンの勝率が低かったからこそ上位指名権を持つのだが。上手くチームの穴を埋めれる選手を指名して欲しいところ。


 そして、いざ蓋を開けてみれば。
 全体1位指名(49ers)は、QBアレックス・スミス。田舎の弱小ユタ大をシーズン全勝に導いた破壊的オフェンスを牽引した人物。昨シーズンの32TD、4INTは驚異的数字だ。
 2位指名(Dolphins)は、RBロニー・ブラウン(オーバーン大)。万能バックとしての実力はかなり高く、逸材中の逸材。ただ、大学ではRBカーネル・“キャデラック”・ウィリアムズとの併用だったので、攻撃の中心としてどれだけやれるかは疑問。
 3位(Browns)はWRブレイロン・エドワーズ、4位(Bears)はRBセドリック・ベンソンと続く。
 ここで、意外な展開に。QBスミスと同等かそれ以上の評価を受けていた筈のQBロジャースが、一向に指名されない。確かに、絶対的エースQBが既に居るか、他にもっと重要な補強が必要なチームの指名が続いているが、それでも誰も指名しない。どうしたことだろうか?
 ようやく24位になり、G.B.Packersが指名。このチームはリーグを代表する巨星QBブレット・ファーブが居るが、年齢的にもあと1〜2年といったところで、そろそろ後継者が望まれるところではあった。だがチームとしても、この順位でQBロジャースを指名出来るとは予想だにしなかったのでは?
 兎にも角にもドラフトは終わり、255名の若き才能がNFLの舞台に挑む事になった。


 それでは、我が御贔屓の2チームの指名結果について。

 先ず、Atl.Falcons。QBマイケル・ヴィックを中心にチーム作りを進めるのであれば、どうしても捕球力のあるWRが必要。今のTEアルジ・クランプラー頼りのパスオフェンスではスーパーボウルは望めない。あとは、パス守備に長けた選手。昨シーズンの穴だらけのパス守備は改善せねばならない。SSアーネスト・シェイザーとかCBアダム・“パックマン”・ジョーンズとかCBアントレル・ロールとか欲しいけど、残ってないだろうなぁ。だって指名権が全体27位だもんなぁ。
 そして、指名は。
 1、WRロディ・ホワイト。サイズとスピードに長けた大型ワイドアウト。
 2、DTジョナサン・バビノー。小柄ながらスピードとアジリティが高いサックアーティスト。
 3、LBジョーダン・ベック。
 4、DEチョーシー・ディヴィス。
 5、LBマイケル・ボーリー。
 6、RBデュアンドラ・コブ。
 7、DTダレル・シュロフィシア。
 正直、もっとCBとかSとか指名すると思ったんだけどなぁ。FSヴィンセント・フラー(→Ten.Titans)なんか4巡まで残ってたし、もっと下位でもRBとかDT以上に優先して獲得に乗り出すべきだと思うんだがなぁ(ラン攻撃もラン守備も昨シーズンはリーグ屈指の成績だったし)。FAでもそうメジャーなタレントの獲得には至ってないし、大丈夫かよ。ま、今年より悪くなるとも思えんし、攻撃でカバーすれば良いか。

 次に、Pit.Steelers。WRプラクシコ・バレス、TEジェイ・リーマズマ、OTオリヴァー・ロス、LBケンドレル・ベル等がチームを去り、まずはこの穴を埋めるのが先決。特にTEとインサイドのLBはかなり重要。
 指名されたのは。
 1、TEヒース・ミラー。不動の大学界No.1TE。レシーヴもブロックもテクニカル。
 2、CBブライアント・マクファッデン。優れたアスリートで、しかも未完成の魅力有り。
 3、トライ・エセクス。
 4、WRフレッド・ギブソン
 5、LBライアン・ウォーレイス。
 6、OGクリス・ケイモイアトゥ。
 7、DEショーン・ヌア。
 7、RBノア・ヘロン。
 TEミラーを獲得出来ただけでも、今ドラフトは大成功と言える。それほどに彼の実力は抜きん出ている。ChargersのTEアントニオ・ゲイツやCowboysのTEジェイソン・ウィーテン、GiantsのTEジェレミー・ショッキー、そしてFalconsのTEアルジ・クランプラーと、若いTEがリーグを席巻している昨今だが、彼もその一角に名を連ねる事になると大いに期待出来る。まぁ彼は良いとして、やっぱLBだなぁ。3位でもう少し早く指名出来たら、LBカーク・モリソン(→Oak.Raiders)とかLBチャニング・クラウダー(→Mia.Dolphins)とか獲れたのになぁ。LBマイク・グールズビーでも、怪我に弱いとは言え、欲しかったところだ。

 さてさて、他のチームでは。
 昨シーズン最下位の49ersは、1位でQBスミスを指名した後は、Cディヴィッド・バース、RBフランク・ゴア……とチームの中心になるべき選手を指名。ただ、これで深刻な人材不足が解決するかと言えば、それは土台無理な話。今年も辛いシーズンになりそう。大旋風を巻き起こすとすれば、やっぱQBスミスの爆発待ち……そりゃ無理だわ。
 昨季王者のN.E.Patriotsは、OGローガン・マンキンズ、CBエリス・ホッブス、OGニック・カクザー……と、何となく控え目な指名。まぁあれだけ選手層が厚く、しかも個々の能力に頼らない戦術を持ってれば、無理して高い金払って未知数の選手を獲る必要は無いわな。ただ、CBとFSはもっと欲しかったのでは?大丈夫か?
 ちょっと面白いのが、この10年でプレイオフ進出僅かに1回、昨シーズンも5勝に終わった、Chi.Bears。1位で全米注目のRBセドリック・ベンソン、2位でWRマーク・ブラッドリー、3位でQBカイル・オートンと、攻撃の軸となるべき選手を相次いで指名した。FAで昨シーズンのリーグ1位のパス獲得距離をマークしたWRムーシン・ムハメド、実力派OTフレッド・ミラー等を獲得しているので、全てが完璧に機能すれば一躍、驚異的な攻撃力を保持することになる。そう簡単に上手くは行かないだろうが、ちょっと期待が持てる。

 はてさて、各チームの陣容が明確になって来た。開幕が待ち遠しい。