NFL2005シーズン開幕週のTV観戦&スタッツ分析あれこれ、の巻。その3。Ind.Colts@Bal.Ravens。

 続いては、Ind.ColtsBal.Ravensの試合から。
 この試合は、最強の守備陣を誇るRavensが最強の攻撃力を誇るColtsを何処まで押さえ切れるかに注目が集まっていた。
 前半に限って言えば、ColtsのQBペイトン・マニングに強烈なプレッシャーを与え続け、Coltsの得点をFG1本の3点のみに封じ込んだRavensはまずまず頑張っていたと思う。RBエジャリン・ジェイムズのランもよく止めていた。時折あった、長いパスを許したり不要な反則を犯したりという凡ミスさえ無ければ、もっと喰らい付いて行けたはずだ。
 後半に入り、アジャスト能力の高いColts攻撃陣&コーチ陣が守備の綻びに畳み掛け、結局は24点を奪われ完敗。まぁその辺は、流石はColts、と言ったところか。


 が、この試合をTV観戦していて一番印象に残ったのは、ColtsのREドワイト・フリーニー。凄い、凄過ぎる。
 ライン右端から猪突猛進し、弧を描くようにQBに迫る。これが実に疾い。しかも力強い。相対するRavensのLTジョナサン・オグデンブロックを強烈な左腕のリップでかち上げ、身体に触れさせもせずに突進を続ける。記録として残っているのは3タックルのみであるが、相手QBに掛けるプレッシャーという点では5サック分くらい有った(独自の判定)。QB相手だけでは無く、ドローやオープンのランでは、そのまま矛先をRBに変えて、RBジャマール・ルイスロスタックルに仕留めていた。
 このブロッカーのLTオグデンとて、只者では無い。プロ2年目から8年連続プロボウル選出を受ける、NFLを代表する攻撃ライン。練習でも同僚の新鋭パスラッシャーOLBテレル・サッグズ(この選手もプロボウラー)を片手であしらっていた程の実力者。
 つまり、プロボウラーLBサッグスを子供扱いする存在のLTオグデンの、これまた遥か高みに居るのだ、このDEフリーニーという化け物は。

 DEドワイト・フリーニーは、シュラキューズ大からColtsに2002年ドラフト1巡11位指名を受けNFL入り。当時は、185cmとラインマンとしては小柄過ぎることが不安視されており、Coltsの選択に誰もが疑問を抱いたものだ。同じパスラッシャーでも、1巡2位指名のDEジュリアス・ペッパーズ(現Cal.Panthers)、1巡25位指名のDEチャールズ・グラント(現N.O.Saints)等の方が高い評価を受けるのも当然に思えた。
 だが、プロでもその突破力は存分に発揮された。1年目から全試合に出場し13サック、2年目11サック、3年目の昨季は16サックを挙げて遂にリーグのサック王のタイトルまで獲得した。
 3年間で40サックのこのペースは、シーズンQBサック記録を保持し殿堂入り間違いなしとされるN.Y.GiantsのDEマイケル・ストレイハン(NFL12年間、175試合で118サック)より遥かに速い。元G.B.Packersの“防衛大臣”故レジー・ホワイト、通算サック記録を持つ元Buf.Billsのブルーススミス級になる可能性すらある。体格で劣るので怪我が怖いが、それさえ無ければ、稀代のパスラッシャーとして記録に残ること間違いない。
 彼の持ち味は、やはり低い体勢からのスピード溢れる突進。一歩目の動き出しが速い上に、相手ラインをすり抜ける動きが俊敏。小柄ゆえに捕まえ辛いのも効果的に働いている。
 因みに今日の写真は、昨年のweek10のHou.TexansInd.Colts戦で、TexansのQBディヴィッド・カーにサックを決めるREフリーニー


 だが、彼DEフリーニーを観ていて思ったのは、“おむすびっちに似てるなぁ”ってコトだった。
 「おむすびっち」とは、高校アメフトを題材にしたマンガ「アイシールド21」に登場する攻守ライン(兼任)である、小結大吉のことだ。身長160cmにも満たない小柄な身体ながらも、強靭な腕っ節と負けん気の強さで(あとは「パワフル語」で。フゴッ!)相手大型ラインに挑み続ける。因みにこのあだ名は、190cmを超える長身を武器にする元スイマーの大型ライン、巨深ポセイドンズの水町健吾が名付けたもの。
 彼もまた、腕力には自信を持つものの、恵まれない体格に悩み、メシをひっくり返して家出するといった騒動まで起こしている。最終的には水町を相手にも一歩も引かず、ライン戦では互角以上の戦いぶりを見せてくれたが、このハンディキャップはずっと付き纏うんだろうなぁ。
 とは言え、プロのNFLでも同様のハンディを乗り越え、更には武器にして、超一流選手として頑張っているDEフリーニーが居る!!彼を目標に、邁進して欲しいものだ。


 付け加えると、今季ドラフトで1巡指名を受けたDal.CowboysのDEドゥマーカス・ウェアだが、193cm114kgと現代NFLにしてはそれほど大きくない。是非とも、DEフリーニーの如く相手に恐れられるプレイヤーになって欲しいものだ。